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意外と知らない熱中症対策

  • 2024年07月11日
梅雨明け前なのに、40度越えを記録した静岡。いわゆる「酷暑日」です。今年、酷暑日を迎えたのは、静岡市が全国初だったので、静岡市は全国で一番暑い都市(2024年7月7日時点)ということになりますね。
そんな全くうれしくない一番を獲得してしまったここ静岡ですが、暑い日に注意しないといけないのが熱中症。
静岡県全体でも、昨年度は、7月に889名、8月に780名もの人が熱中症で救急搬送されています。熱中症は、意外とみなさんの身近に潜んでいるので、しっかりとした対策が必要です。

 

熱中症で●●の症状が出ると、要注意!


熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもってしまっている状態です。それにより、めまいやほてり、倦怠感、体温異常、意識消失などの症状が出てきます。その症状に応じて、重症度が3段階に分類されています。(下表参照)

重症度

症状

Ⅰ度
  立ちくらみ、筋肉痛、筋肉の硬直、大量の発汗
Ⅱ度
  頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感
Ⅲ度   意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温
最重症   深部体温が40度以上、意思疎通不可
Ⅰ度に分類される症状だと、その場で応急処置が可能ですが、
Ⅱ度だと救急搬送、
Ⅲ度にまで至ると入院して集中治療が必要となります。
「頭痛くらいなら何とか大丈夫」と思われてしまいがちですが、実は意外と危険な状態の可能性が高いんです。少し休んで水分、塩分補給をしてみても、頭痛が引かないという場合は、我慢せずに救急車を呼びましょう。

気温で判断するのはもう古い!熱中症リスクの新指標「●●指数」

「気温」は、熱中症リスクの判断基準として、とても分かりやすい指標です。しかし、実は、気温だけに注意していると、その陰に潜む熱中症リスクを見落としてしまい、熱中症になる可能性が高くなってしまいます。

例えば、2011年7月のとある日、最高気温が全く同じにも関わらず、熱中症で救急搬送された人数は2倍近く異なります。

日付
2011年7月6日
2011年7月9日
最高気温 32.5℃ 32.5℃
熱中症搬送数 50人 94人

環境省 熱中症予防サイト参照

その要因は、「湿度」と「周辺の熱環境(日射・輻射など)」です。
上の表に「湿度」のデータの追加すると、下表になります。
日付 2011年7月6日 2011年7月9日
最高気温 32.5℃ 32.5℃
最小湿度 41% 56%
熱中症搬送数 50人 94人

環境省 熱中症予防サイト参照

このように、気温が同じでも、湿度が高いと、熱中症リスクは跳ね上がってしまいます。そのため、熱中症対策をする上で、「気温」だけでなく、「湿度」と「周辺の熱環境(日射・輻射など)」も考慮する必要があります。

その3つの要素を加味した、熱中症対策の新たな指標が「暑さ指数」です。
暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)とは、
熱中症予防を目的として、1954年にアメリカで提案されたもので、
①気温
②周辺の熱環境(日射・輻射など)
③湿度の3つを取り入れた指標になります。
最近やっとテレビなどでも少しずつ取り上げられるようになってきたので、耳にしたことがある方もいるかと思います。

先程の表に「暑さ指数」も加えると、このようになります。
日付 2011年7月6日 2011年7月9日
最高気温 32.5℃ 32.5℃
最小湿度 41% 56%
最小湿度 26.9
(警戒)
29.9
(厳重警戒)
熱中症搬送数 50人 94人

環境省 熱中症予防サイト参照

 

熱中症救急搬送数が94人だった7月9日は、暑さ指数が7月6日よりも1段階高い「厳重警戒」レベルだったんです。
尚、暑さ指数は以下のように分類されます。

暑さ指数
(WBGT)
注意すべき
生活活動の目安
注意事項
危険
(31以上)
すべての生活活動で
おこる危険性
高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。
外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。
厳重警戒
(28以上31未満)
外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。
警戒
(25以上28未満)
中等度以上の生活活動で
おこる危険性
運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。
注意
(25未満)
強い生活活動で
おこる危険性
一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。

環境省 熱中症予防サイト参照

暑さ指数は、ネットで「暑さ指数」と検索すると、3日先までの予報を見ることができます。
28以上の日は、かなり危険な日です。熱中症で救急搬送されないためにも、是非チェックしてみてください。

暑熱順化|●●で熱中症になりにくいカラダ作り

最後に、今日からすぐできる、熱中症になりにくいカラダの作り方を紹介します。
それは、「入浴」です。

入浴することで、暑熱順化して、熱中症になりにくくなります。

暑熱順化とは、カラダが暑さに慣れることです。
暑熱順化できているのとできていないのとでは、暑い夏の日のカラダの反応に雲泥の差が出ます。

■暑熱順化できた(カラダが熱さに慣れた)状態の場合・・・
気温が上がると、すぐに皮膚の血流量が増加し、体内の熱を外に放出することで、体温を安定させる
汗に含まれる塩分は少ないため、失われるナトリウムの量も少なくて済む
それに対して、

 

■暑熱順化できていない(カラダが暑さに慣れていない)状態の場合・・・
気温が上がっても、すぐには皮膚の血流量が増加しないため、
体内の熱を外に放出することができず、体温が上昇しやすい
汗に含まれる塩分が高いため、失われるナトリウムの量が多い
つまり、
暑熱順化できていると、熱中症になりにくく、
暑熱順化できていないと、熱中症になりやすくなるということです。
その暑熱順化を自宅で簡単にできる方法が、「入浴」です。
入浴することで、
①適度に体温が上がって、
②汗をかきます。
この一連の流れを繰り返すことで、実際に気温が上昇したときも、カラダはスムーズに対応できるようになります。
夏は暑いからシャワーだけという人も多いかと思いますが、2日に1回程度でもいいので、入浴する習慣を身に付けると、熱中症になりにくいカラダを作ることができます。ぜひ、試してみてください。


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