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運動時、花粉症薬を服用する際の注意点

  • 2024年11月13日

こんにちは。ご無沙汰しております、ひばり天王町薬局の管理薬剤師Tです。

10月も半ば過ぎまで夏日が続きましたが、ようやく秋らしい気候になりました。秋と言えば…「食欲の秋」「スポーツの秋」「読書の秋」「芸術の秋」などありますが、自分はもっぱらスポーツの秋を満喫、島田大井川マラソンにも出場してきました。

私はこの時期、秋の花粉のせいか鼻炎症状がひどくなり時々薬を飲みます。
ヨモギ?ブタクサ?原因は分かりませんが毎年悩まされます。
花粉症の時に飲む薬、いわゆる抗アレルギー剤ですが、鼻炎症状だけでなく蕁麻疹を始めとする皮膚のかゆみにも効果を発揮します。
ただ、スポーツをする際の服用には注意点があります。

それは鼻炎症状を緩和する本来の効能とは別に起こる副作用「抗コリン作用」があることです。
マラソンをしている友人や知り合いにも花粉症に悩まさせている方がおり、大会出場時に薬を服用するそうですが、薬剤師の立場から彼らにも注意を促す機会があります。

抗コリン作用とはアセチルコリンという副交感神経の働きを担う神経伝達物質を抑制する作用です。本来望ましくない作用が起こるわけですがそれが以下の内容です。

抗コリン作用
    1. 汗や唾液などの体液の分泌を抑えるため喉が渇きやすくなったり、発汗量が減るため熱中症のリスクとなる。
    2. 眠気を誘うため集中力や注意力の低下しやすくなる。
    3. 毛様体筋を緩めるため眼圧の上昇と瞳孔が開き、視界がまぶしくなる。(注意:緑内障)
    4. 消化管の運動を抑えるため便秘が起こりやすくなる(注意:腸閉塞など)
    5. 膀胱の収縮を抑えるため頻尿を抑える(注意:前立腺肥大症)

運動時に着目すべきは①の発汗抑制作用

汗は高温や運動時、体温が上がりすぎないように皮膚から分泌されます。花粉症の薬には、この体温調節機能を低下させてしまう作用を含む物が多く、熱中症につながるため継続的に服用している場合、注意が必要です。
この時期でも気温が高くなる日は多々あり、気温が20度近くまで上昇すれば熱中症のリスクは高まります。
フルマラソンという長時間のランニング時にはこういったリスクを考慮し、効果と副作用のバランスを含めた選択が必要となります。
抗アレルギー剤による抗コリン作用は、薬によって多少の強弱と個人差があります。
あくまで目安として注意を要する代表的な薬(全て先発医薬品の名前で)とその特徴について紹介します。

まず抗アレルギー剤には第一世代と第二世代があり、
第一世代、いわゆる昔ながらの薬は抗コリン作用が比較的強く傾向が見られます。第二世代はその辺りの副作用が軽減されています。

〈第一世代〉

レスタミン、ポララミン、アタラックス
発汗抑制だけでなく、眠気による副作用も多い。

〈第二世代〉

アレロック、アレグラ、アレジオン、クラリチン、ザイザル、ザジテン
ビラノア、デザレックス、ルパフィン

抗コリン作用はほぼ変わりないですが、眠気の副作用はザジテン・アレロックは比較的強いです。
経験上ですが体感的にはビラノアは眠気による副作用がほとんどなく、花粉症を抑える効果が早く強い印象です。
(服用タイミングは食前1時間前~食後2時間後を避けること)。

あくまで処方箋医薬品ですがドラッグストアなどで買える市販薬についてです。
市販薬は、一般的に幅広い症状に対応するため、複数の成分が配合されています。

上記内容と同一成分である
d‐クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン
これらが配合される薬は注意です。

その他に、総合感冒薬であるPL配合顆粒、ピーエイ錠にもプロメタジンという成分が第一世代の抗アレルギー剤に該当します。そもそも風邪の時に激しい運動を避けましょう。

つまり、
抗アレルギー剤にはこのようなリスクがあるが、絶対に服用してはいけないということではありません。
マラソンに限らずサッカー、野球、ゴルフなどでもそうです。
運動しなくても、お子さんの付き添いや引率などで屋外に長時間いる場合など、汗をかきやすい環境では注意をしなければなりません。症状が軽ければ薬を服用しないという選択肢もあるし、点鼻薬で対応するというのも手だと思います。

「ブタクサ、ヨモギ」による秋の花粉症対策について、コチラでも詳しく触れています。

秋はあっという間に過ぎてしまう印象がありますが皆さんはどんな秋をお過ごしですか?
あっという間に冬の到来、気温も急に下がり体調も崩しやすい時期となります。
適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠で体調管理に気を付けてください。



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