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新しい薬はいつから使える?

  • 2023年07月14日

ひばりグループのホームページをご覧いただきありがとうございます。
今回は、真面目におくすりの話

冒頭から私事になりますが…
私の母は、還暦を迎える前に「若年性アルツハイマー」を発症しました。陽気で明るく天然な一面をもっていたので、お笑いで言うところのボケをカマしているのかと思うほど、はじめの頃、家族はとても懐疑的でした。次第に悪化していくのですが割愛します、お察しください。

2023年7月米国でアルツハイマーの新薬が承認されたとニュースで知りました。
自身の経験から特にこの病気については、アンテナが高いです。
名称は「レカネマブ」FDA(米国食品医薬品局)から承認された、アルツハイマー病の治療薬です。レカネマブは、脳内に蓄積するタンパク質であるアミロイドβを除去することで、アルツハイマー病の進行を抑制する効果が期待できるそう。
これまでのアルツハイマー病の治療薬と異なる点は、病気の原因に直接作用するということ。副作用が少ないとのデータも特徴なのだそうです。しかし・・・

新型コロナウイルスによるパンデミックをコロナ禍と呼ぶようになり、日本では第5類となりほぼ収束の感がありますが、米国のファイザー社から初のワクチンが発表され、結局日本製が出ることはありませんでした。
海外は新薬承認が迅速で、日本は遅いと感じた方は私だけではないはず。
レカネマブも、いつ日本で処方されるか、もしくは承認されないか、気になるところです。

新薬承認の流れについて、日本と海外との違いを調べてみました。
米国と日本の承認までの期間の違いの根本的なところには、そもそもの保険制度の違いがあり突き詰めると収拾がつかなくなってしまうので、そのあたりは控えさせていただきます。

承認の流れ

新薬の承認プロセスは、米国で先に承認された場合、日本での承認に関しても基準となる。日本では、厚生労働省が新薬の承認を担当し、安全性と有効性の確認を重視している。

米国で新薬が承認された後、製薬会社は日本での承認を求めるために、厚生労働省に対して必要な書類やデータを提出します。日本では、米国の臨床試験データを参考にしつつ、国内の患者集団における追加の試験データも要求されることがある。

厚生労働省は、提出されたデータを評価し、安全性と有効性が確認された場合、新薬の承認を検討します。審査期間は一定の時間を要しますが、この期間を短縮するための取り組みも行われている。

一方で、新薬の承認数については、米国と他の諸外国と比較すると、日本の承認数は相対的に少ない傾向。これは、厚生労働省が非常に厳格な基準を持っており、安全性と有効性の確認に時間とリソースをかけているため。

日本における治験と臨床試験の実施方法や期間について、他の国々と比較するといくつかの違いがある。ひとつは、日本での治験における人数や期間の要求が比較的高いという点です。厚生労働省は、臨床試験のデータを評価する際に、より広範な日本人の患者集団に基づいたデータを要求する傾向があり、これは、遺伝的、生活環境、民族的な要素など、国内の特有の要素を考慮するため。

また、日本では治験や臨床試験のプロセスにおいて、厳格な規制と審査が行われます。これにより、安全性と有効性を確実に保つことが重視され、この厳格さが新薬承認の遅れにつながるとの指摘が一部で出ているようです。

ただし、日本でも新薬の迅速な承認を促進するための取り組みが行われている。例えば、特例承認制度や、他国での既存データを活用した審査の短縮、優先審査制度などが導入されて、これにより厚生労働省はより迅速かつ効率的に新薬の承認を行うことができるようになった。

各国の取り組みについては、米国では包括的な臨床試験データの提出が求められる。米国では大規模な臨床試験が行われ、多くの患者が参加することが一般的。一方、他の諸外国では、米国と同様の基準に従って承認が行われる場合もあるが、時には異なる要件や審査プロセスが存在することもある。

総じて言えることは、新薬の承認は各国で異なるプロセスに基づいて行われており、厳格な基準を満たす必要がある。日本では、安全性と有効性の確認に時間をかけているが、迅速な承認を促進するための取り組みも進められていて、医療の進歩と患者の利益をバランス良く守るために、各国は適切な承認プロセスを確立し、新薬の安全性と有効性を確保する努力を続けている。

アルツハイマーの場合

現在、用いられる主な薬品

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI):
アリセプト(ドネペジル)、リバスタッチパッチ・イクセロンパッチ(リバスチグミン)、レミニール(ガランタミン)、NMDA受容体チャネル阻害剤:メマリー(メマンチン)

脳内アミロイドβ除去薬(Aβオリゴマー除去薬):
アデュヘルム(アデュカヌマブ)(アメリカのみ ※公的医療保険は非対象)、ガンテネマブ(ガリナマブ)


これらは、症状の進行を緩和する薬で、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、まだアミロイドβタンパク質が蓄積していない部分の脳神経の働きを活性化させることで、脳全体の働きをカバーしようとする薬のため、病気の原因を直接治療する薬ではありませんでした。そのため、効果が限定的でした。それに対して、脳内アミロイドβ除去薬は、アルツハイマー型認知症の原因の一つと考えられている部分に直接作用する全く新しい薬のため、将来性があり効果も期待されていますが、現段階では、既存の薬と比較して、アルツハイマー型認知症の進行をより緩やかにするという効果にとどまり、また、副作用の報告も数多くありました。

レカネマブに於いても、副作用はゼロではなく。
最もよく報告されている副作用は、頭痛、倦怠感、発熱、筋肉痛、関節痛、下痢、嘔吐、食欲不振です。これらの副作用は、通常軽度で、数日以内に治まります。
レカネマブでは、脳の腫れを伴う副作用が報告されています。これは、レカネマブがアミロイドβを除去する際に、脳内に炎症を引き起こすことが原因と考えられています。脳の腫れを伴う副作用は、重篤な場合、死亡に至ることもあります。副作用は、個人差があります。一部の人はほとんど経験しない一方で、他の人は重篤な副作用を経験することもあります。

 

副作用
    • よくある副作用:
      頭痛(29%)、倦怠感(26%)、発熱(23%)、筋肉痛(20%)、関節痛(17%)、下痢(16%)、嘔吐(15%)、食欲不振(14%)
      まれな副作用:脳の腫れ(0.4%)

レカネマブは、アルツハイマー病の治療に大きな期待が寄せられています。
これは、レカネマブに限った話ではなく、すべての疾病と薬にあてはまります。画期的な新薬を心待ちにしている多くの患者様のために、メーカーはじめ研究開発者が日夜取り組んでいます。開発直後、承認直後の薬はすべてその時点では開発途上です。そのため、長期的な安全性や有効性は、今後の研究でさらに明らかになってくるでしょう。
とはいえ、画期的な新薬と医療技術が多くの患者様とそのご家族に早く届くことを願うばかりです。



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