
医療費控除を使って医療費の自己負担を減らす方法
- 2025年02月10日
こんにちは。ひばり安西薬局の薬剤師です。
今回のテーマは、「医療費控除」についてです。
その前に、先日、私はAFPという資格を取得しました。
あまり聞き慣れないかもしれませんが、AFPとはAffiliated Financial Plannerの頭文字を取ったものです。参考までに日本FP協会のホームページからの引用を載せておきます。
AFP資格は、FP(ファイナンシャル・プランナー)として必要かつ十分な基礎知識を持ち、相談者に対して適切なアドバイスや提案ができるFP技能を習得した者に与えられる資格です。(引用:日本FP協会)
なぜこの資格に興味を持ったかというと、調剤薬局で勤務していると薬の相談だけではなく医療費や保険など、ざっくりとお金の相談も受けることがあるためです。
今まで、どのくらいの医療費を払っていたかをあまり気にしたことがなかった人も、今はそれほど医療費がかかっていない人も、この記事を読んで医療費控除について知っておけば、医療費にかかる自己負担を減らすことができるかもしれません。

医療費控除とは
初めに、医療費控除というのは所得控除の1種です。
では、所得控除とは何かというと、個人の所得から一定の金額を控除(差し引く)することを指します。これにより、課税対象となる所得が減り、税負担すなわち所得税が減ることになります。
この所得控除には、すべての納税者が受けられるような基礎控除や、扶養家族がいる場合に適用される扶養控除などがあります。それらと別に、年間の医療費が多くかかってしまった場合には医療費控除を受けることができます。
実際には、所得から様々な控除を引いて残った金額が課税所得となり、この課税所得に一定の税率をかけることによって所得税を算出します。ここでの税率は次の表のようにあらかじめ決められています。
表1:所得税の速算表

ここまでで1つの例を考えてみましょう。
年収500万円の会社員で
・給与所得控除
・基礎控除(48万円)
・社会保険料控除(仮に80万円)
・その他の控除(仮に扶養控除などで40万円、医療費控除は除く)
とすると、課税所得は以下のように計算されます。
500万円−140万円−48万円−80万円−40万円=192万円
この192万円に、税率をかけて所得税を算出します。
すなわち、192万円×5%=9.6万円が所得税となります。
もし仮に、ここに医療費控除額が10万円適用されると、
500万円−140万円−48万円−80万円−40万円-10万円=182万円
すなわち、182万円×5%=9.1万円が所得税となります。
よって、この例では医療費控除を使った場合、所得税が5000円安くなるということが分かります。
医療費控除の対象となる医療費
医療費控除の対象となる医療費
医療費控除額を算出する際に、支払った医療費の合計を算出しますが、この合計金額には生計を共にしている家族(配偶者・子ども・親など)の医療費も合算することが可能です。しかしながら、全ての医療費が対象となるわけではありません。
対象となる費用には以下のようなものがあります。
・医師や歯科医師による診療・治療費
・病院での入院費用
・処方箋に基づく医薬品の購入費
・通院のための交通費(公共交通機関のみ)
・介護保険制度に基づく介護サービス費用(一部)
・助産師による分娩介助費用
・指定された治療のための医療機器(補聴器や義歯など)
一方で、美容整形や予防接種、健康診断(異常がなかった場合)の費用などは対象外となります。
医療費控除の申請方法
会社員であれば、会社が代わりとなって年末調整をやってくれることが多いため、おおよその控除を受けることができます。しかし、医療費控除を受けるためには、自分で確定申告を行う必要があります。昨年の2024年1月1日~2024年12月31日まで支払った医療費に対する医療費控除を受けるには、今年の2025年2月17日(月)~2025年3月17日(月)までに確定申告が必要です。
一例として、e-Taxを利用した申請方法の手順を簡単にご紹介します。
1.「マイナポータル」や「確定申告書等作成コーナー」 にアクセス
2.「医療費控除」の項目に進み、医療費通知情報を入力(もしくは明細書を入力)
3.申告データを送信
4.控除後の税額が計算され、申請完了
詳細な申請方法については国税庁のホームページ等を参考にしてみてください。
(引用:国税庁)
今回のテーマは医療費控除についてでした。知っているのと知らないのとでは将来大きな差ができてしまうかもしれません。
次回のテーマは、医療費控除の特例であるセルフメディケーション税制についてです。
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